のちに結婚することになる中国系アメリカ人のチャンと出会ったのは、アメリカを旅していたときです。駅で電車を待っていたら話しかけてきて、「食事をしよう」「車を借りるから一緒に旅をしよう」と、猛アプローチしてきました。

 結局、1週間べったりと過ごすことになったのですが、それだけではすみません。一度帰国してキャバクラ勤めに戻った私に、「日本は夜でしょ? どこに行っていたの?」と、毎晩電話をかけてきました。

 チャンを好きになった、というよりは海外の暮らしに憧れて、半年後にロサンゼルスに渡り、結婚しました。ウエディングドレスは着なかったけど、両親と兄が渡米して、みんなで食事したのが1994年。まだバブルの泡は、虹色に輝いていました。

 だから、結婚して驚いたのは、車のディーラーをしていた1つ年下のチャンの経済力のなさでした。「お米がきれたから、50ドルほしい」と手を出すと、「今日はない」と言われることがたびたびなのです。

 翌年と、その2年後、日本で里帰り出産をする私に、チャンはとうとう1ドルもくれませんでした。それだけじゃありません。出産して3か月後に戻ってみるとアメリカは日本食ブーム。寿司店、和食店などいつも募集がありました。

「子供は預かるから」とチャンの母親は、私に募集の紙を見せるのです。結局、朝から深夜まで働いて、家計費は私がほとんど出すことになりました。それでもまだ、私はアメリカの一面しか知らなかったのです。

◆高熱なのに莫大な治療費を払えず、病院に行けない

 渡米して10年が経ったときのこと。寒気がして熱を測ったら39度近い。春先に風邪? と仕事を休んでベッドに入ったものの、なかなか熱が引きません。

 症状が治まるのを待って、仕事に出るとまた高熱が出る。それを見てチャンは、「オーケー?」と心配そうに顔を覗き込むだけ。夜中に歯の根が合わないほど震えがきても、「病院に行こう」とは言いません。

 その時になって初めて、「小さな家族保険しか入っていないから、カバーできない」と言い出したのです。つまり、私が病院にかかると莫大な医療費がかかるから、診察は不可能ということ。

「気分が変われば、病気もよくなるよ。食事に行こうよ」

 チャンは私をランチに連れ出しましたが、そのときの不安といったら。明るい陽射しの西海岸の道を歩きながら、私は初めて日本が恋しくてどうしようもなくなりました。

◆腎盂腎炎で人工透析一歩手前の身に離婚を突きつけた夫

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