「黒田の功績にケチをつける気は毛頭ない。しかし、彼の背番号が永久欠番になるのなら、ほかになってしかるべき選手がいると思うのだ。その代表がこの私だ。おこがましさを承知で書くが、私の『19』が永久欠番になっていないのはおかしくないか?
私のほかにも、三冠王を三度も獲得した落合博満や、歴代二位の三百五十勝をあげた米田哲也、通算千六十五盗塁という空前絶後の記録を残した福本豊、川上さんと人気を二分した大下弘さん、稲尾とともに西鉄の黄金時代を築いた中西太さんもなっていない。
「永久欠番は、その球団の選手に対する価値観を象徴するものといっていい。だからこそ、私は声を大にして言いたいのだ。『永久欠番にするのは、私以上の成績を残した選手だけにせよ! 永久欠番になりたければ、おれを抜け!』」
野村は、昨年9月に出版した『野村の遺言』(小学館刊)のなかでも、「名捕手なきプロ野球界は滅びる」とキャッチャー軽視の風潮に苦言を呈して話題となったが、今回のこの発言は「第二の遺言」とも言えそうだ。