国内

徳川家末裔宮司による靖國神社「賊軍合祀論」発言で議論百出

靖國神社宮司の徳川康久氏 共同通信社

 英霊を祀った靖國神社トップの発言が、大きな波紋を呼び、そのあり方が問われる事態に発展している。季刊『宗教問題』編集長の小川寛大氏が、創建150年の靖國神社がなぜ揺らいでいるのかをリポートする。

 * * *
「靖國神社に“賊軍”を祀っていいわけがない。もしそんなことになったら、俺は短刀一本で刺し違えてやる!」

 ある右翼団体の幹部は、顔を真っ赤にしてまくしたてた。穏やかでない物言いだが、現在いわゆる“右翼の世界”において、靖國神社はここまで人の感情を揺さぶる問題の震源地になっている。

 発端は昨年6月、共同通信が配信し、静岡新聞や中国新聞などの一部地方紙に載った靖國神社宮司・徳川康久氏のインタビューだった。内容の柱は、2019年に迎える靖國創建150周年に向けた事業計画や、その意気込みに関することだったのだが、徳川宮司は明治維新の意味合いに関して、こう語ったのだ。

「私は賊軍、官軍ではなく、東軍、西軍と言っている。幕府軍や会津軍も日本のことを考えていた。ただ、価値観が違って戦争になってしまった。向こう(明治政府軍)が錦の御旗を掲げたことで、こちら(幕府軍)が賊軍になった」

 靖國神社とは、明治維新の中で行われた戊辰戦争の“官軍”側戦死者を祀るためにできた「東京招魂社」(明治2年創建)をルーツとする。戊辰戦争は明確に「官軍vs賊軍」という対立構図の中で行われた戦争だ。

 徳川宮司は、江戸幕府将軍・徳川慶喜のひ孫。徳川家の末裔が“薩長神社”とも呼びうる神社の宮司を務めているのは不思議に思えるが、戦後の靖國神社では旧皇族・華族出身者が宮司を務める例がしばしばあり、その流れで「大きな異論もなく徳川さんが就任した」(神社関係者)という。

 しかし明治維新から約150年、現役の靖國神社宮司が「戊辰戦争に“賊軍”はいない」と言わんばかりの発言をしたことで、関係者に与えた衝撃は少なくなかった。賊軍のことを「こちら」と呼んだことからも、その血筋が育んだ“史観”のようなものが垣間見える。

関連記事

トピックス

林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
「パー子さんがいきなりドアをドンドンと…」“命からがら逃げてきた”林家ペー&パー子夫妻の隣人が明かす“緊迫の火災現場”「パー子さんはペーさんと救急車で運ばれた」
NEWSポストセブン
豊昇龍
5連勝した豊昇龍の横綱土俵入りに異変 三つ揃いの化粧まわしで太刀持ち・平戸海だけ揃っていなかった 「ゲン担ぎの世界だけにその日の結果が心配だった」と関係者
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン