「即手術が必要な場合でも、この言葉で患者を繋ぎ止め、診療報酬を得る医師もいる。医師がこのワードを何度も口にしたら“私はどういう状態なのですか”と説明を求めた方がいい。
その際、重要な判断基準は医師が客観的な検査のデータや病変の写真を用いて、完治までのプロセスや選択肢を示せるかどうか。それをせずに『経過観察です』と言うばかりなら、別の医師に診てもらうのが賢明です」(同前)
眼科への通院では、目薬を処方されることが多いが、これも注意が必要だ。
「たとえば緑内障では、進行を遅らせる処置として目薬が処方されますが、手術とは異なりあくまでも対症療法です。手術技術のない医師が“手術までの時間稼ぎ”で目薬を処方し続けるケースには要注意です。また、緑内障の点眼薬は5ミリリットル3000円ほどと非常に高額ですので、医師が『手術より収入になる』と処方し続けることもあります」(同前)
さらに深作氏が「特に注意が必要」と語るのが、しばしば大都市を中心に存在する、コンタクトレンズ店隣接型の眼科医だ。
「すべてと決めつけるわけではありませんが、率直にいって“ザル診療”が多い。医療法ではコンタクトレンズは医師が扱うべきとなっているため、眼鏡店やコンタクトショップが法律上の体裁を整えるために“形だけ”の医師を雇っていることが多いのです。研修医や引退後の医師を安い賃金で雇っている場合も多く、眼科専門医でないケースさえあります」
【プロフィール】ふかさく・ひではる:1953年、神奈川県生まれ。滋賀医科大学卒業。1988年、深作眼科を開院。現在も横浜本院、六本木院にて診療・執刀を行なう。著書に『やってはいけない目の治療』(角川書店)、『視力を失わない生き方』(光文社新書)などがある。
※週刊ポスト2017年3月3日号