英国で問題になった日本企業3社に「今後の対応」について問うと、ホンダは、「ホンダには安全ではない、質の悪いサイトには広告を出さないための厳格なプログラムがあります。今後さらにリスクを最小化するため、プログラマティック広告の対策に取り組んでいきます」(広報部)と答えた。
一方の日産は「英国日産自動車としては、代理店と契約をし、全てのデジタル広告について不適切なサイトに広告が転載されないよう第三者によるモニターを行なっています」(広報部)と回答。同社は2013年、女性への差別発言が書き込まれていることを理由に、Facebookへの広告を停止した過去がある。ネット広告への対応はこれまでも取り組んできた問題でもある。
ソニーは「広告手法のシステム上、意図しない表示がされるケースが未だ稀に発生してしまうことは認識しており、監視、および当社として意図しない形での広告表示が確認された場合の取り下げなどを実施しています」(広報・CSR部)と話し、事後対応となっている現状を窺わせた。
日本の広告費の総額は6兆1710億円(2015年)。最大の支出先は地上波テレビの1.8兆円だが、2020年までに2桁増の伸び率が予想されるネット広告(1.15兆円)が「近い将来、テレビを追い抜く」(大手広告代理店関係者)と言われている。
「今後、ネットが企業の広告費の受け皿となっていく。そうなれば、出稿先の玉石を見極める企業側の姿勢がますます問われる。しかし現在は、広告主となる企業が“どこのサイトにどれだけの量の広告を流したか”を知りたいと要望しても、プログラマティック広告では明らかになりにくい。企業側は自社広告の最終的な掲載先までを管理・把握できる仕組みを代理店側に要求するなど、より広範囲なコンプライアンスを求められることになる」(前出・伊藤氏)
英国発の調査報道が日本に“飛び火”しようとしている。
※週刊ポスト2017年3月3日号