国内

喪服と縁の切れない女性 母、夫、義弟が次々と早逝

母、夫、義弟が次々と早逝した女性の半生

 どんなに辛いことがあって私は負けない──そんな思いを持って生きてきた女性が半生を振り返る。東京都の合田清子さん(70才)の告白手記を掲載します。

〈本稿は、「自らの半生を見つめ直し、それを書き記すことによって俯瞰して、自らの不幸を乗り越える一助としたい」という一般のかたから寄せられた手記を、原文にできる限り忠実に再現いたしました〉

 * * *
 暮らしが落ち着くと身内の誰かが死ぬ。そうでなければ見栄と体裁で血みどろの争い。開業医の娘として育った私は、皮肉にも、喪服と縁の切れない中で生きてきました。

 去年の秋の話です。深夜0時を少し回った頃。寝入りばなを、けたたましい電話の呼び出し音で起こされました。

「あのね、ナツコちゃんが今、亡くなったんだって。詳しいことはわからないけど、とにかく伝えたからね」

 従妹から、67才の妹の死を知らせる電話でした。

「ああ、そう。ありがとう」

 私はそう言うと受話器を放り出しました。亡くなった妹とは、2時間前までこの受話器を握って、大げんかをしたばかりだったのです。

「もう、あんたなんか姉でもなんでもないわ。次に会うのは、誰かの葬式だね」
「そこまで言うか?」

 私が言い終わらないうちに、妹が受話器を叩き置きました。

 けんかの原因は、いつものように、お金。

「あんたがパパの遺産を盗んだの、知っているんだからね」
「ああ、やだやだ。田舎大学出の男と再婚なんかするから私の取り分がなくなるの」

 目と口を半開きにゆがめて“物体”になっている妹の姿が目に浮かび、2時間前、彼女が私に投げつけた言葉の数々が耳の奥にまだ残っていました。

◆継母いじめをする私を妹は見て育った

 私は昭和22年、東京都下で代々開業医を続けている家の長女として生まれました。体が弱かった母は妊娠と流産を繰り返し、結婚して10年目にしてやっと授かったのが私。その2年後に生まれたのが妹です。

 しかし母は産後の肥立ちが悪く、直後に死亡。乳飲み子を抱えて医者の仕事を続けるのは難儀なことだと、父は知人のすすめで一周忌を待たずに再婚をしました。

 私が通っていた学校は、大学までエスカレーターの私立女子校で、給食はなくお弁当。その時期の子供は、「うちのババアが」とか言いつつも、二言目には「親が」という殊勝な言葉が出てきます。お昼は親の悪口と、ちょっとした自慢の場でもあります。

 ところが私はその輪の中に入れません。なぜなら、私のお弁当は継母でなく、お手伝いさんが作ったものだから。それを来る日も来る日も、そっくりトイレのゴミ箱に捨て、空腹はお小遣いで買ったチョコレートで満たしていました。

関連記事

トピックス

氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
5月場所
波乱の5月場所初日、向正面に「溜席の着物美人」の姿が! 本人が語った溜席の観戦マナー「正座で背筋を伸ばして見てもらいたい」
NEWSポストセブン
AKB48の元メンバー・篠田麻里子(ドラマ公式Xより)
【完全復帰へ一直線】不倫妻役の体当たり演技で話題の篠田麻里子 ベージュニットで登場した渋谷の夜
NEWSポストセブン
水原一平容疑者は現在どこにいるのだろうか(時事通信フォト)
《大谷は誰が演じる?》水原一平事件ドラマ化構想で注目されるキャスティング「日本人俳優は受けない」事情
NEWSポストセブン
”うめつば”の愛称で親しまれた梅田直樹さん(41)と益若つばささん(38)
《益若つばさの元夫・梅田直樹の今》恋人とは「お別れしました」本人が語った新生活と「元妻との関係」
NEWSポストセブン
被害男性は生前、社長と揉めていたという
【青森県七戸町死体遺棄事件】近隣住民が見ていた被害者男性が乗る“トラックの謎” 逮捕の社長は「赤いチェイサーに日本刀」
NEWSポストセブン
学習院初等科時代から山本さん(右)と共にチェロを演奏され来た(写真は2017年4月、東京・豊島区。写真/JMPA)
愛子さま、早逝の親友チェリストの「追悼コンサート」をご鑑賞 ステージには木村拓哉の長女Cocomiの姿
女性セブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
女性セブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
パリ五輪への出場意思を明言した大坂なおみ(時事通信フォト)
【パリ五輪出場に意欲】産休ブランクから復帰の大坂なおみ、米国での「有給育休制度の導入」を訴える活動で幼子を持つ親の希望に
週刊ポスト