力士同士の因縁も真剣勝負を彩る。たとえば2013年には4人の力士(豪風、琴欧洲、琴奨菊、琴欧洲)を対戦翌日に球場に追い込み “壊し屋”の異名を持つ松鳳山(しょうほうざん、二所ノ関部屋)と、ガチンコのモンゴル力士・千代翔馬(ちよしょうま)の対決。
昨年の9月場所でのことだ。立ち合いで当時新入幕の千代翔馬が激しく右の張り手を繰り出す。するとそれに松鳳山が激怒。怒濤の突き押しで千代翔馬を土俵際に追い詰めると、最後は土俵下に叩きつけた。
「千代翔馬は審判を務めていた浦風親方にぶつかり、桟敷席まで突き飛ばされた。それでも松鳳山の怒りは収まらない様子で、土俵下の相手を物凄い形相で睨みつけていた。新たな遺恨試合になるでしょう。その後、九州場所、初場所と対戦がありませんでしたが、3月場所では番付も近いので取り組みがある。千代翔馬がどう意趣返しするかですね」(スポーツ紙デスク)
高校時代からのライバルもいる。松鳳山(宇佐産業科学高出身)は同学年の琴奨菊(明徳義塾高出身)とは高校時代に全国大会で何度も対戦した関係だ。同じ明徳義塾出身の栃煌山(とちおうざん、春日野部屋)と埼玉栄高で活躍した大関・豪栄道(ごうえいどう、境川部屋)も同い年で、いつも激しい相撲になる。
その豪栄道と、小学生時代に同じ大阪・交野市の相撲道場に通っていたのが、大物食いで知られる勢(いきおい、伊勢ノ海部屋)だ。
「小学生時代の勢を見た豪栄道の父親が、体格的に同級生の息子の稽古相手に相応しいと見込んで道場への入門を勧めた経緯がある。もともとは豪栄道の背中を追いかけて勢が精進していたが、最近はなぜか疎遠になっているよう。春場所も対戦がありそうなので、2人の間に何があったのかを想像しながら見るのも一興でしょう」(担当記者)
※週刊ポスト2017年3月10日号