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【著者に訊け】木下昌輝氏 『敵の名は、宮本武蔵』

木下昌輝氏が『敵の名は、宮本武蔵』を語る

【著者に訊け】木下昌輝氏/『敵の名は、宮本武蔵』/KADOKAWA/1600円+税

 二刀流、とはいっても、あの大谷クンではない。その元祖代名詞的存在、宮本武蔵玄信、幼名弁助が、本書の主人公たちの、さらに敵役という趣向である。

 木下昌輝著『敵の名は、宮本武蔵』は、弱冠13歳で有馬喜兵衛を破って以来、約60戦全てに勝利したとされる武蔵に、討たれた側の物語。先述の有馬や、通称〈クサリ鎌のシシド〉、京の名門道場主・吉岡憲法こと源左衛門や巌流小次郎との死闘まで、計7編の敗者の生と死を通じてかの剣聖の実像に迫る、連作短編集だ。

 剣や書画にも才を発揮した武蔵に関しては、小説や漫画等々、エンタメ作品も数多いが、本書では敗者の視点や小次郎戦にまつわる衝撃の新解釈、さらに〈憲法黒〉なる染物技術の誕生秘話や、弁助時代の若さが、最大の読み処といえよう。

 人を斬れば斬るほど強く、そして遠くなる武蔵が人の子なら、斬られる側もまた人の子だった。それを「命のやり取り」と言うは易く、闘いの背後には決して小さくはないドラマが潜む。

 見る、視る、観る──。本書では剣や画に秀でた武蔵の孤高や洞察力に迫る上で、3つの「みる」が効果的に使い分けられている。

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