対して金正日の母・金正淑は、抗日パルチザン(遊撃隊)の一員で、金日成とともに国のために闘うなかで彼と結ばれた。小さな体で、決して美人ではなかったものの、金日成いわく、「遊撃隊にほかに女がいなかったから」。その母に似ているといわれていた金正日は、外見にコンプレックスを抱き、父似の金平一が疎ましかった。
「金正淑は金正日が8才のとき、4度目の出産がたたって亡くなるのですが、最期は医師の治療を拒んだ憤死でした。その1年ほど前から夫と金聖愛の不倫を知っていたといいます。
その母の後釜に座った継母への憎しみは大きく、またその長男で、父の後継者といわれる金平一の存在は邪魔で仕方なかった。それで彼を追い詰めるのですが、高英姫は、そんな夫の過去を知っていただけに、金正男が政権を握ったら、自分の息子たちがどうなるか、ものすごく心配したんですね。
成ヘ琳は相手にもしていなかったのですが、彼女の息子である金正男は脅威だったんです。金正男は一時期、祖父の金日成からかわいがられていましたし、金正日も長男を後継者にするのが順当だと考えていたはずですから」(李さん)
その金正男が金正日から嫌悪されたきっかけこそ、女性問題だったといわれている。前出の李さんは、金正男の意外な一面を明かしてくれた。
「金正男はスイスに留学していた多感な時期、オートバイの後ろに金髪の女性を乗せたりしてかなり遊んでいたんです。女性関係も派手で、それが父にしてみれば自分を見ているようで嫌で、帰国命令を出したとの話もあります。
その後、金正男が東京ディズニーランドに来ようと不正入国し強制退去させられたことがありましたが、それをリークしたのも高英姫だといわれています。金正男が世界中に恥をさらした姿を見せることで、父・金正日の信頼を失わせるのが目的でした」
高英姫は当初、金正哲を後継者に推していたものの、彼はエリック・クラプトンの追っかけをするほどの音楽好きで、政治にはまったく興味を示さなかった。金正男が失脚するなかで、2011年12月、金王朝の三代目に指名されたのが金正恩だった。
※女性セブン2017年3月16日号