コラム

為替相場 円以外の通貨では米ドル高基調が鮮明に

円以外の通貨では米ドル高基調が鮮明に

 為替相場はアメリカのトランプ大統領の発言に翻弄される展開が続いている。その中でドル/円相場はどのように動いていくのか、為替のスペシャリスト、松田トラスト&インベストメント代表の松田哲氏が解説する。

 * * *
 米ドル円相場は今後どう動くか。ドル金利の上昇やドル投資圧力は潜在的にあるが、2017年年央まではドル安・円高基調で進むのではないか。

 実は米ドル/円だけが特殊な動きで「米ドル安」に向かっており、対ユーロ、対英ポンド、対豪ドルでは「米ドル高」がより鮮明になっている。FX(外国為替証拠金取引)でリスクを抑えながら効率のよいトレード戦略を描くならば、対米ドルでユーロ、英ポンド、豪ドルを売っていくのがよいだろう。売りからも買いからも入ることができるFXの利点を、ぜひ活用してほしい。

 トランプ大統領は本音では中国だけでなく、ドイツも貿易不均衡国として攻撃のターゲットにしたいところだが、ユーロはヨーロッパ全体で使っている共通通貨のため、積極的にはユーロ高圧力はかけてこないと思われる。米ドル金利は上昇傾向、ユーロ金利は緩和傾向でステイのため、金利差が拡大していく方向にある。

 金利のより高い方に資金が流れると考えれば、ユーロ/米ドルは素直にユーロ安・ドル高方向に進むだろう。英ポンド/米ドルや豪ドル/米ドルも売る戦略が生きるが、世界最大のメジャー通貨ペアであるユーロ/米ドルを売るのが一番わかりやすく、手堅いといえる。

 ユーロ/円、英ポンド/円などのクロス円(米ドル以外の通貨と円の通貨ペア)については、私は円高傾向でみており、総じて売りと判断する。

 クロス円の代表であるユーロ/円は、米ドル/円とユーロ/米ドルの掛け算で決まる。トランプ政権が米ドル/円に売り圧力をかけて下落方向に進み、ユーロ/米ドルが金利差などを背景に下落していくならば、ユーロ/円も下落していく。クロス円でトレードしたいならば、ユーロ/円を売っていくのがよりローリスクでリターンも望めて効率的だろう。

 ユーロには、欧州政治リスクへの警戒感も付きまとう。ヨーロッパでは3月中旬のオランダ総選挙を皮切りに、4~5月にかけてのフランス大統領選、秋のドイツ連邦議会(下院)総選挙と今年は重要な国政選挙が控えている。

 反移民・反EU(欧州連合)を掲げる極右政党、ポピュリズム(大衆迎合主義)政党がヨーロッパで勢いづいており、彼らが選挙で勝利したり、議席数で勢力を拡大したりすれば、リスク回避でユーロ売り、円買いの動きが加速するだろう。不透明感漂う欧米の政治の動向には、くれぐれも注意してほしい。

マネーポスト2017年春号

関連キーワード

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン