ビジネス

森下仁丹が第四新卒募集、「オッサン」を連呼の意図

「オッサン」をなぜ募集?(森下仁丹HPより)

 ネット上に公開されたその動画は〈オッサンたちへ〉という文字が大写しになるところから始まる。モノクロ映像で街の電気屋や路面電車など昭和の雰囲気漂う街並みが流され、その合間に50代と思しき男性たちが「あの頃は、仕事が全てだったんです」「ずっといた場所から出てみたい、そう思ったんです」などと、仕事への秘めた思いを語る──動画は〈オッサンも変わる。ニッポンも変わる。〉、〈第四新卒採用を始めます。〉という文字で締めくくられる。

 動画を公開したのは「仁丹」など健康食品の製造販売で知られる森下仁丹だ。

 なぜ〈オッサン〉を連呼するのか。〈第四新卒〉とは何か。よくわからないことだらけなので、同社に聞いた。

「採用に際し、新卒後3年未満を指す第二新卒、博士課程修了で未就労者を指す第三新卒という呼び方がありますが、社会人経験がありながら仕事への情熱を失わず次のキャリアにチャレンジする人を第四新卒と名付けました。今回の募集では、年齢を問わずポテンシャルを重視しています」(広報・マーケティング担当)

 募集要項には食品・医薬品などヘルスケア事業のマネージメント職などを募集しているとある。年齢不問なのに、〈オッサン〉が強調される理由は同社の駒村純一社長のキャリアパスにありそうだ。駒村氏は52歳の時に三菱商事からヘッドハンティングされて森下仁丹に入社した。今回の動画も、同氏の肝いりで制作されたものだという。

「駒村は商社マンとして実績を重ねながらも先のキャリアが見通せてしまう状況に、“このままではつまらない人生になる”と感じたそうです。それで転職し、当社の経営立て直しのために執行役員として入社した。年齢にとらわれずチャレンジする人材を補強したいと何年も前から考えていたといいます」(同前)

 社長の思い入れが、独特な動画公開につながった今回の採用募集をジャーナリストの溝上憲文氏はこう評す。

「40~50代の『オッサン世代』には、大企業の中で昇進できず滞留している優秀な人材も多い。そこに訴求する新鮮なやり方です。ただ、この世代は考え方が凝り固まっていたり、仕事で守りに入っている人も多い。森下仁丹の採用担当者の“眼力”が問われるでしょう」

 募集開始日の3月1日だけで400人超の応募があったという。その中に同社が求める「チャレンジングなオッサン」はいるのか。

※週刊ポスト2017年3月17日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月20日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン