もちろん、カスタマー(納税者)サービスという視点で見れば、役人の態度は最悪だ。たとえば、私が印鑑証明を取るために役所の出張所に行っても、たいていの職員は知らん顔をしている。苛立ちながら声をかけると渋々受付カウンターに出てきて、ぶっきらぼうに「そちらの機械でも取れますよ」と言うだけだ。
しかも、鳴り物入りで総務省が導入したマイナンバーカードは、コンビニで印鑑証明や住民票が取れる以外、国民には何のメリットもないため、膨大な税金の無駄遣いとなった住基カードの二の舞になろうとしている。民間企業でこんな事業を進めていたら、あっという間に倒産するだろう。
もし仮に私が千代田区の事務総長(そんな役職は実際にはないが)になったら、すべての住民情報をデジタル化し、縦割り縄のれんで同じことをやっている他の22区の行政業務もM&Aで請け負ってクラウドでアウトソーシングするだろう。「天上り」官僚なら、そうした発想で行政業務を劇的に省力化していくはずだ。
日本企業のホワイトカラーの生産性は欧米企業に比べて格段に低いと問題になっているが、それよりはるかに低いのが日本の役所なのである。私がやれば、どう計算しても役人の数とコストは現在の10分の1以下で事足りる。まさにいくらでも「カイゼン」可能なのである。これこそ安倍晋三首相が取り組むべき効果抜群の財政改革+成長戦略ではないだろうか。
※週刊ポスト2017年3月17日号