もしも愛犬が白内障になってしまったら、どうすればいいのか──そんな不安を抱く愛犬家も少なくないのでは? 愛知県の女性からこんなお悩みが届いた。
「うちの子は4才のチワワです。目が白くなってきたのが気になり、病院に行ったところ、まだ老犬でもないのに、白内障と診断されました。治す方法はありませんか?」(愛知県・あいちん、35才・会社経営)
このお悩みに白金高輪動物病院総院長で、予防医療にも力を入れている佐藤貴紀さんがアドバイスする。
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白内障とは、なんらかの原因で目の中の水晶体が混濁した状態をいい、進行すると視覚障害になります。老犬だけの病気ではなく、子犬のうちに発症することもあります。
◆白内障の原因は遺伝、加齢などさまざま
白内障は先天性と後天性に大きく分類でき、1才以下で発症すると先天白内障、1~6才なら若年白内障、6才以上を加齢白内障といいます。
後天性の原因は、加齢や糖尿病、低カルシウム血症、ぶどう膜炎など、他の病気が引き金となり発症する場合や、水すい晶しよ体うた嚢いのうの断裂や放射線治療の合併症などが挙げられます。
さらに発生後の進行状況で、
【1】水晶体の白濁が始まる“初発”
【2】混濁が進行し、水晶体の膨化が始まる“未熟”
【3】水晶体全体が混濁し、硬くなり、視覚を喪失する“成熟”
【4】水晶体の融解が始まる“過熟”
以上4段階に分けられます。あいちんさんのように、飼い主が見て“白く濁ってる”とわかるのは、【2】の未熟期と考えられます。
◆手術や薬代などで費用は約100万円
白内障は内科的に治癒させることは不可能とされ、治すには外科手術しかありません。しかし、どの子もみな手術が受けられるわけではなく、緑内障や網膜剥離などの合併症を発症していないかや、今後の発症リスクの判断が必要になるため、専門医を受診しなければなりません。
進行するほど合併症の確率が上がり、手術の成功率が下がるため、なるべく早く手術の検討をしましょう。
治療費の目安は、手術・薬代・入院代などを含み100万円前後。状態によっては点眼薬を一生継続することも考えられます。
その他、合併症などが原因の場合は、点眼薬を使用するケースも。また、加齢の場合は、麻酔のリスクを考慮し、進行を遅らせるサプリメントを処方することもあります。
いずれにせよ、白内障の治療は、的確に判断し、早期に治療方針を決めることが大事。また、目が白い=白内障とは限らず、別の病気の可能性もあるので、気になったら早めに病院へ行きましょう。
※女性セブン2017年3月30日・4月6日号