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親のスマホ依存でスマホ・ネグレクトやプチ虐待が静かに進行

親がスマホ依存になると子供はキレやすくなる

 スマートフォンも合わせた携帯電話の世帯保有率は、95.8%。スマホに限っても、72.0%(2015年総務省調査・前年比7.8ポイント増)。電話、メールはもちろんLINE、インターネット、写真や動画の撮影など、さまざまなことが1台でできてしまうスマホ。もちろん便利だし、今さら「持たない」選択肢はないかもしれない。でも、想像してほしい。あの小さな機器がなかった頃のことを──その功と罪をみなさんと考えたい。

 スマホの影響は“使う本人”だけにとどまらない。乳幼児の子育てでは、母親のスマホ使用が子供に大きな影響を与える。明治大学文学部教授で教育学博士の諸富祥彦さんが指摘する。

「母親がスマホに気を取られていると、赤ちゃんが泣いていてもそれに応じず、赤ちゃんはしょっちゅう放置された状態に置かれてしまう。“スマホ・ネグレクト”“プチ虐待”が、母親自身が気づかないうちに静かに進行してしまっているんです。子供が母親を見ているのに、視線を合わせてもらえない。0~6才までの間にこうしたことが続くと、親と子の間に必要な情緒的なつながり、アタッチメント(愛着)が築かれません。

 その結果、子供は自分の感情をコントロールする力や他者を信頼する力が育たない。幼稚園や保育園、小学校で、すぐにかんしゃくを起こしてキレたり、地団駄を踏んで泣き叫び続ける子供が増えていますが、これらは“愛着障害”によるものと考えられ、母親による“スマホ依存”の影響が大きいと思います」

 最近、子守代わりに子供にスマホの動画などを見せ、その間に家事などの用事をすませる“スマホ育児”が広がっている。なかには、

「泣いている時にとりあえずスマホでネットの動画を見せると、そっちに気が取られて子供が泣きやむ。スマホさまさまです」(32才・主婦)

 という人も。実際に20~39才の母親を対象にした内閣府の調査では、「育児中、スマートフォンやタブレットに助けられたことはありますか?」の問いに「よくある」と答えた人が26.9%、「時々ある」が36.3%で、6割の母親がスマホに頼ったことがあることがわかる。

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