一方、就労継続支援A型は、雇用契約を結び、給料をもらえる。平均賃金は月額7万円弱である。
芽室町にある障害者が働く「九神ファームめむろ」もこのA型だ。農作物の生産や弁当の製造・販売などを行なっている。
だが、給料を聞いて驚いた。ぼくが訪ねたときには23人の障害者が働いていたが、「以前いた作業所では月7000円だった」という人が、月額11万5000円の給料をもらっていた。地方で、毎月この額の収入があれば、経済的自立も夢ではないだろう。
「はじめてお母さんに、お小遣いをあげた」と語る笑顔は、とても誇らしげだった。
6年間引きこもりだった発達障害の若者は、「働き始めてから、自由な時間は減ったけど、自由に決められることが増えた」と言う。かっこいい言葉だ。
「ぼくが休むと会社がつぶれる」と、どうしても休まなければならなくなった朝、泣きながら電話をかけてきた人もいた。仕事に誇りと責任感をもつことで、自分が存在している意味が見えてきたのだ。
なかには、働く技術を身に付け、支援事業の対象から卒業し、正社員として月額16万円の給料をもらっている人もいる。経済的に自立できれば、将来の計画も立ちやすい。結婚し、子どもを育てていくことも可能だ。生きたお金は、いい循環を生み出していく。