いつまでも責任の押し付け合いと犯人捜しをやっていても、得するのは「戦うジャンヌ・ダルク」像をさらに強固なものにし、都議選で圧勝を狙う小池百合子都知事だけである。ならば、都民目線で豊洲の活用法を考えたい。私が提唱するのは「都庁の豊洲移転」である。石原慎太郎元都知事や浜渦武生元副知事、歴代市場長の糾弾に心血注いでる場合ではない。

 連帯責任は嫌いだが、「オール都庁」となって新宿のキングギドラの如き摩天楼から、使い手のない豊洲市場の施設にその機能と職員を一斉に移せばいい。都庁の延べ床面積は第一・第二庁舎・議事堂合わせて38万504平方mで、豊洲市場は51万平方m(敷地面積は40万7000平方m)。

 これまではエレベーターでの上下移動だったが、敷地内の横移動はセグウェイや自転車を活用すればいい。あれだけ多くの職員が一か所に移転できる場所は豊洲だけだ。ただし、運転免許更新センターなど、都民サービスのための施設は新宿に残したまま、とする。

 今回「発展的な別案を考える」という視点から私は休日に現場を歩いてみた。最初は繋がるエリアである豊洲・晴海・月島を合わせて谷中・根津・千駄木の「谷根千」のごとく「月晴豊」(げっせいほう)としてセットで売り出してはいかがかとも思ったが、豊洲→市場→晴海→月島の約5kmを歩き、観光地としての連携は難しいと感じられた。

 まず、豊洲は基本的にはオフィス街&新興住宅地である。休日ともなれば、豊洲公園は若い夫婦と歓声をあげる小さな子供の姿ばかりである。市場付近には何もない。晴海はオフィス街、月島はもんじゃ焼き屋だらけ。散歩道としても情緒もクソもなく、これを一括りにするのは難しい。

 となれば、豊洲単体で考えなくてはいけないが、生鮮食品を扱う場所としてのイメージは地に落ちている。そこでカジノ案やらアリババグループへの売却が取り沙汰されたが、都心から離れた芝浦にあったジュリアナ東京が廃れたことの再現にならないか心配だし、中国資本にあそこまでの巨大な土地を売ることへの懸念もある。

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