そこでの都庁大移転である。今回この思いを強くしたのは、ゆりかもめ「市場前」駅の改札で25分待っていた時のことである。一体どれだけの人数が利用するのかを見たかったのだ。市場関係者のために作られたこの駅、一駅隣の「新豊洲」からわずか470mだ。25分の間、上下線合わせ12本の列車が来たが、乗ったのは1人の女性だけ。ランニング中に疲れて乗ったのだろう。降りてきたのは若い男性1人。彼に「この駅の近くに何か特別なものがあるのですか?」と聞いたら「好きなアーティストさんのPVの撮影場所があるんです。『聖地巡礼』です」と語っていた。ちなみに駅員によると、平日は工事関係者が乗り降りはしているようだ。

 気になったのが同駅と市場を繋ぐスカイウォークである。本来ならば、ここを通って市場関係者・見学者・メシを食べたい人がイキイキと歩く場所だっただろうが、シャッターが降りていて、一切入れない。駅員は、「市場が正式にオープンしない限りは降りたままです」と語っていた。

 あぁ無情。キラキラとしたこの施設が一切使われないまま、日々の維持費だけがかかっていく。だからこそ、新宿のキングギドラを超一等地のオフィスとしてさっさと賃貸に出し、豊洲の空白期間にかかった費用を穴埋めしてほしい。また、現在はライブやイベントの「箱」が足りない状況にある。議事堂も連日ライブや芝居を行う場所に変更させれば、これまたガッポリ稼げるだろう。

【PROFILE】中川淳一郎●1973年生まれ。一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。2001年に退社後、ネットニュース編集者、ライター、PRプランナーとして活動。近著『電通と博報堂は何をしているのか』(星海社新書)など著書多数。

※SAPIO2017年5月号

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