衆院定数「0増5減」が行なわれた前回総選挙の際、山梨(定数3から2に削減)には自民党に3人の現職がいた。旧1区の宮川典子氏(小選挙区当選)と合併された旧3区の中谷真一氏(比例復活)が生き残りをかけて新1区の公認争いを演じ、党執行部は折衷案として2人を小選挙区と比例代表に交互に出馬させるコスタリカ方式にする裁定を下した。
納得できない宮川氏は「山梨で小選挙区で勝ち上がったのは私だけだ」と激しく抵抗し、最後は党本部でボロボロ涙を流しながら裁定書に署名した。
今回の区割り変更でも青森、熊本、鹿児島など自民王国で定数が削減され、“領地召し上げ”になる議員が出るのは確実。その上、大都市圏でもかつてない“国替え”が行なわれる。議員たちが浮き足立つのは無理もない。
「新聞では支持率の低下で解散は先送りと報じられているが、安倍総理にはなんとしても区割り変更前の5月に解散総選挙をやってほしい」
それが自民党議員の多くの本音なのだ。
※週刊ポスト2017年4月21日号