芸能

春風亭一之輔「寄席は手軽な足湯のようなもの温泉じゃない」

独演会のチケットは即完売の春風亭一之輔

 近頃徐々にブームとなっている落語だが、今後の落語界を背負っていく逸材といわれ、2012年に21人抜きで真打に昇進したのが春風亭一之輔(39才)だ。

 4月10日には『NHKプロフェッショナル仕事の流儀』にも出演しており、落語家としては、人間国宝の柳家小三治(77才)以来の登場だ。

 取材日となった3月1日、一之輔は上野鈴本演芸場と浅草演芸ホールの2つの寄席に出演した。鈴本では、2人の追いはぎのおかしな掛け合いを描いた『鈴ヶ森』を披露。この演目は、一之輔の十八番の1つといわれる。

 一方、浅草では、壺を安く買うために店主をだまくらかす噺『壺算』を演じた。頭を使って考えながら、思わず笑ってしまう演目だ。一之輔はこう話す。

「寄席は団体芸です。最後の出演者、つまりトリまでにお客さんのテンションを出演者たちでドンドン上げていく。野球でいうと、満塁にして4番バッターにつなげるような感じです。

 鈴本は、出番が最初の方で、お客さんの空気もあったまってなかったから、テンションに火をつける笑える演目を選びました。浅草の出番は、中盤でした。お客さんも結構温まっていたので、比較的自由に自分の演やりたいネタをやりました。

 だいたいいつも出番の30分前に楽屋に入って、ネタ帳を見て、その日にやるネタを決めます。それから、お茶飲んで、着替えて、行ってきますという感じです。発声練習はしないですね。それで15分の出番を終えると、着替えてお茶飲んで“お先失礼します”と言って帰っていく。滞在時間は1時間ありません。毎日そんな感じです。

 寄席は、不思議なもので、同じ演目を同じようにやっても、毎日お客さんの反応が違うんです。だから、寄席は、本番だけど稽古、稽古だけど本番なんです。毎日、鍛えてもらっている。例えば、お客さんがよく笑ってくれて反応のいい時は、自分も乗ってくる。“ご隠居さんこんなこと言っちゃったよ”や“小僧の定吉はこんな返しをしたよ”とかアドリブが自然と出てくるんです。そうやって、自分の落語を鍛えています。だから、本当の本番っていつだろうって思います、いつも本番でいつも稽古です」

関連キーワード

関連記事

トピックス

各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
理論派として評価されていた桑田真澄二軍監督
《巨人・桑田真澄二軍監督“追放”のなぜ》阿部監督ラストイヤーに“次期監督候補”が退団する「複雑なチーム内力学」 ポスト阿部候補は原辰徳氏、高橋由伸氏、松井秀喜氏の3人に絞られる
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン
メキシコの有名美女インフルエンサーが殺人などの罪で起訴された(Instagramより)
《麻薬カルテルの縄張り争いで婚約者を銃殺か》メキシコの有名美女インフルエンサーを米当局が第一級殺人などの罪で起訴、事件現場で「迷彩服を着て何発も発砲し…」
NEWSポストセブン
「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年11月6日、撮影/JMPA)
「耳の先まで美しい」佳子さま、アースカラーのブラウンジャケットにブルーのワンピ 耳に光るのは「金継ぎ」のイヤリング
NEWSポストセブン
逮捕された鈴木沙月容疑者
「もうげんかい、ごめんね弱くて」生後3か月の娘を浴槽内でメッタ刺し…“車椅子インフルエンサー”(28)犯行自白2時間前のインスタ投稿「もうSNSは続けることはないかな」
NEWSポストセブン
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン