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カフェ併設やイベント開催で生き残り図る書店は「交流の場」

カフェ、ギャラリーを併設した新店が登場(荻窪「Title」HPより)

 本離れが加速する昨今。毎年、全国で500店以上の書店が閉店しているという。しかし、その一方で新たな試みに挑戦する書店も少なくない。

 2015年7月、多くのファンに惜しまれながらリブロ池袋本店が閉店した。その店員だった辻山良雄さんが独立し、2016年1月に開いた書店が『Title』だ。東京・荻窪駅から歩いて10分ちょっとという決して便利ではない立地。青いテントが張られた店は、2階建ての古民家を3か月かけて改装した。1階は書店でその奥にカフェがあり、2階はギャラリーになっている。

 書店が厳しい状況に置かれているなかで、なぜあえて新規開業に踏み切ったのか。

「本が売れないなかでも売れている本はありますし、本を読みたいと思っている人はいますから。でも、これまでと同じことをしているだけでは潰れてしまうのは、現実を見ればわかっていました」

 そう話す辻山さんが目指したのは、「単に本を買うにとどまらない体験ができる店」。

「インターネットで本が買える時代に、お客さんがわざわざ遠い場所まで足を運ぶのは、ものを買いたいから、欲しいからというよりは、お店に行くという体験をしたいからだと思います。ならばカフェやギャラリーなども、足を運んでもらえるきっかけになるんじゃないかなと」(辻山さん)

 カフェのメニューには食事やケーキもあり、カフェだけを目的に来る客もいる。もちろん2階のギャラリーだけを見て帰る客もいる。それでも真ん中にあるのは、“本と出会ってほしい”という思いだ。

「お客さまと本との出会いを邪魔しないというのが店の基本姿勢。カフェを含めて3~4時間いるお客さんもいます。本との時間をゆったり過ごしていただいて、お気に入りの一冊を見つけてもらえれば嬉しいですね」(辻山さん)

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