呑んべぇたちの拍手が聞こえてきそうな勢いだ。WHO(国際保健機関)の酒悪玉論に医者の立場から物申すのが、がん専門医の帯津良一・帯津三敬病院名誉院長だ。81歳の現在まで「休肝日なしで毎日缶ビール3本、ウイスキーか焼酎をダブルロックで2~3杯」の晩酌を数十年続けてきた。
「お酒は愛着を持って楽しんで飲めばいいんです。一日の終わり、労働に感謝してね。私はがんの専門ですから、患者さんが私の前だと酒の話ができるって喜んでます。例えば抗がん剤治療中の患者には『辛いことに耐えているから、たまには酒でも飲んでほっとしないとダメだ』って言うと、みんなわかってくれる」
胃がんの手術をした患者にはこうアドバイスした。
「その患者さんは『1年お酒飲んでないんですけどそろそろいいでしょうか』と聞いてきたんです。隣で奥さんが心配そうにしてたけど、『飲んだ方がいいよ』って答えると、『週にどれぐらい』なんていうから、『毎日だ』って。立ち上がって最敬礼して帰っていきました」
がん患者も酒をあきらめる必要がないと説く。
「何も考えずにお酒をやめろという医者もいるが、よほど肝臓が悪いとか腎臓が悪いとかじゃなければ特に問題はありません。肝臓にがんがあってもがん以外の細胞が正常に働いているなら、私は飲んでいいって言いますね」