そんな窮状にあって、東芝の経営危機を招いた「原発事業」にこそ、江上氏は、活路を見出す。
「原発を増やすにしてもやめるにしても、福島第一原発をはじめとする廃炉問題は日本が避けて通れない課題。東芝は原子力関連の技術者とノウハウを有している。それが東芝の強みであり、使命でもあるのです。
そのうえで経営の鍵を握るのが銀行です。今は監査法人が財務を見ていますが、それが終われば今度は銀行がその役割を担う。不正会計はもちろん、事業の一つ一つについて、妥当性があるのか、意義があるのか、リスクはどのくらいなのかを精査して、東芝の経営を支える。
東芝の原子力事業には社会的使命がある以上、それを支えることで銀行も社会的使命を果たせる。その使命感が東芝と銀行の絆となるはずです」
※週刊ポスト2017年5月5・12日号