「官房長官や官房副長官が議事を進めている間、大臣たちの多くはずっと“サイン”をしている。閣議決定した答弁書などに、確認の花押(署名の代わりに書く記号)を書いているのだ。書類が大量にあって、次から次へとサインし続けるだけ。議題に質問が出たり、議論されたりすることはまったくない」
閣議は“意思決定するための儀式”でしかないから、そこで細かな議論をすることは意味がないと考えることもできるだろう。しかし、これだけ日本が危機に晒されている中、全大臣が集まる場で安全保障に関する議論が交わされず、「総理夫人付職員ウンヌン」の答弁書にサインしているだけとは、国民が知れば驚くだろう。閣議取材を禁止しているのは、見せられないほどどうでもいいことをしているということ自体が“国家機密”だからではないか。
危機感がないのは閣議の最中だけではない。
同日の閣議終了後の8時47分、稲田朋美・防衛相は官邸エントランスに現れた。記者による囲み取材が始まった。繰り返すが、北朝鮮が中距離ミサイルを発射した後のタイミングだ。稲田氏はこう語った。
「女性自衛官比率の倍増という目標を掲げた『女性自衛官活躍推進イニシアティブ』を昨日決定しました」
「時代と環境に適応した魅力ある自衛隊を目指して、女性の採用拡大、配置制限の実質的な全面開放、勤務環境の整備を行い、女性活躍を推進します」
女性自衛官の活躍を推進すること自体は悪いことではない。しかし、このタイミングで「魅力ある自衛隊」という言葉がいかにトンチンカンなことか、ご本人はわかっていないようだ。