「彼は、仕事とか、男友達の誘いが入ると、断われなくてそっちを優先してしまう人。身勝手ではあるんだけど、男たるもの、家庭ばかり優先して、職場では窓際、っていうのもカッコ悪いなと思うんです。
それに、私に愛情がないかといえば、そうではない。だって、二人でいるときは楽しいし、女の中では私がいちばん好きなはずだから。以前、浮気されたこともあるので、浮気されるよりは仕事でドタキャンのほうがまし、と最終的に納得しました。この先、不安がないわけではないけど、少しずつ彼が変わっていくことを信じて──」
ドタキャンを乗り越えた結婚か、それとも、ドタキャンに目をつぶった結婚か。祥子さんの話を聞きながら、<正しさに拘泥(こうでい)したら結婚なんてできない>という、江國香織さんが書いたフレーズが頭をよぎった。