国際情報

苦境の中国主導AIIBに日本主導のADBが救いの手

昨年1月のAIIBの開業式典 新華社/AFLO

 鳴り物入りでスタートしたAIIB(アジアインフラ投資銀行)が早くもコケ、日米中心のADB(アジア開発銀行)の存在感が増している。AIIBは加盟国数こそADBを上回ったものの、実際に払い込まれた出資金は定款上の資本金の7%にも満たない。単独融資はほとんどなく、多くはADB融資に相乗りしただけだ。産経新聞特別記者の田村秀男氏がレポートする。

 * * *
 苦境に立つAIIBに救いの手を差し伸べる国際機関がある。他ならぬADBである。実は、財務官上がりの中尾武彦ADB総裁は財務官僚時代から親中派として省内で知られる。

 2014年前半に習近平政権がAIIB創立に向け日米などに工作を始めたとき、中尾総裁は拒否反応を示す米国とは対照的に理解を示した。理由はアジアのインフラ資金需要が旺盛で、ADB単独では間に合わないというものだ。中国はインドと並ぶADBからの大借り入れ国である。資金需要に応えるというなら、まず中国にADBへ全面返済させるのがスジのはずだが、中尾氏は「問題ない」と断じた。

 中尾氏はアジアの資金需要について、2009年の試算で8兆ドルに上ると言った。2017年3月には総額26兆ドル、毎年1.7兆ドルに上ると大きくかさ上げしたが、実需とはかけ離れた誇大妄想値に近い。アジア各国がインフラ整備したくても、実行は返済条件次第だ。

 そもそも発展途上国全体の国際市場での証券発行は残高でみても2兆ドル程度である。それに近い規模の資金需要に国際金融市場が応じられるはずはない。中尾氏らはそんな破天荒な予測をAIIB肯定の材料に使っている。

トピックス

生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
麻辣湯を中心とした中国発の飲食チェーン『楊國福』で撮影された動画が物議を醸している(HP/Instagramより)
〈まさかスープに入れてないよね、、、〉人気の麻辣湯店『楊國福』で「厨房の床で牛骨叩き割り」動画が拡散、店舗オーナーが語った実情「当日、料理長がいなくて」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
50歳で「アンパンマン」を描き始めたやなせたかし氏(時事通信フォト)
《巨大なアンパンマン経済圏》累計市場規模は約6.6兆円…! スパイダーマンやバットマンより稼ぎ出す背景に「ミュージアム」の存在
NEWSポストセブン
保護者を裏切った森山勇二容疑者
盗撮逮捕教師“リーダー格”森山勇二容疑者在籍の小学校は名古屋市内で有数の「性教育推進校」だった 外部の団体に委託して『思春期セミナー』を開催
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
新宿・歌舞伎町で若者が集う「トー横」
虐待死の事例に「自死」追加で見えてきた“こどもの苛烈な環境” トー横の少女が経験した「父親からの虐待」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
NEWSポストセブン