健康によい発酵食品というイメージが強い納豆。それが特定の薬と“セット”になると、かえって健康を害しかねない。薬剤師の堀美智子氏が解説する。
「脳塞栓症の予防などに広く使われる『抗凝血薬』のワルファリンを飲む前後に納豆を食べると、薬効が大幅に低下するのです。ワルファリンは血液を固まりやすくするビタミンKの働きを阻害することで、血栓ができるのを防ぎます。ところが、納豆菌は腸内で大量のビタミンKを生み出す働きをするため、食べるとその分だけワルファリンの作用が弱まってしまいます」
日常的によく食べる食材が薬の成分や作用に悪影響を及ぼす例はいくつも存在する。
製薬メーカーが薬の効能や副作用などを示す「添付文書」の中には、「相互作用」の項目がある。そこには同時に服用すると悪影響を及ぼす食材についても記されている。市販薬でも同じである。しかし、「残念ながら多くの人が説明を読んでいなかったり、リスクに注意を払っていないのが実情」(前出・堀氏)だ。
※週刊ポスト2017年5月26日号