水沢:幻想的な部分とその他の現実世界の差が印象深く、すぐには理解できない難解さにも引き込まれます。鏑木清方までは日本画でしたが、そこから先はすべて西洋画の作品ですね。
山下:明治天皇の前半生40点が日本画、後半生が西洋画なんですね。日本古来の芸術と西洋から入ってきた新しい芸術が、半々になっているのも象徴的です。近代日本の縮図が実感できるところにも価値があります。
●山下裕二(やました・ゆうじ)/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻・小学館刊)の監修を務める。笑いを交えた親しみやすい語り口と鋭い視点で日本美術を応援する。
●水沢エレナ(みずさわ・えれな)/1992年生まれ。モデル、女優。3月より配信中の『Love or Not』(d-TV・FOD)に森美鈴役で出演中。ドラマ『フランケンシュタインの恋』(日本テレビ系、日曜22:30~)にラジオDJ・大宮リリエ役でレギュラー出演中。
◆明治神宮外苑 聖徳記念絵画館:開館9時~17時(最終入館16時30分)、年中無休(都合による休館あり)。施設維持協力金500円。
撮影■太田真三、取材・文■渡部美也
※週刊ポスト2017年5月26日号