かつて著名競走馬の実名を利用した競馬のゲームソフトが、パブリシティ権侵害になるか争われました。最高裁は物(動物は物)の所有者の権利は、「その物の有体物(現実にある物そのもの)としての面に対する排他的支配権能であるにとどまり、その物の名称等の無体物としての面を直接排他的に支配する権能に及ぶものではない」とし、競走馬の名称等が無体物としての面で有する顧客吸引力などの経済価値を利用したとしても、競走馬の所有権を侵害しないと判断しました。
そこで、特に利用を制約する約束をすることなく、写真撮影できた亀の写真をネット上に載せても問題はありません。それでも、亀が有名で飼い主が特定できる場合、載せ方によって、友人の信用や名誉を傷つけるようなことがあれば、別に不法行為としての責任を負うことも考えられます。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2017年6月9日号