◆他校には怪文書で告発された会長も
最大の危機は3期目早々、役員間に生じた亀裂だった。杉江氏は常々メーリング・リストで情報の共有に努めてきたが、ある時から個別のメールや電話が本業に支障を来すほど相次いだのだ。
「メールの宛先一覧を見ると誰が孤立しているか、わかるんですね。でも人間関係はどっちが悪者でもないし、全て私の不徳の致すところですって、会長が頭を下げるしかない。当時はホント針の筵でしたけど、他校にはありもしない不倫を怪文書で告発された会長さんもいたし、僕はまだマシな方です(苦笑)」
学童と違って、区や教育委員会の実質的傘下にあるPTAを、彼らは原点に戻そうとした。PTAに限らず手段が目的化し、組織のための論理が罷り通る中、子供や地域のためを普通に考える組織再生の、本書はサンプルでもあるのだ。
「特に今は共働きや1人親世帯が普通になってきたこともあって、PTAの同調圧力の問題や意義そのものが問われ始めている。僕は自分の経験を書いただけですが、今後は要不要も含むさらに進んだ組織論が議論されて行くとは思います」