寺院側は課税の取り消しを求めて裁判を起こしたが、昨年5月、東京地裁で敗訴。控訴しなかったため判決が確定した。マンション霊園の多くは「宗教不問」を掲げているため、課税強化が他の施設にも広がるのではないかと危惧されている。行政書士で葬祭カウンセラーの勝桂子氏はこういう。

「ベルトコンベア・システムの保守・管理などを適切にやろうとすれば、ビル型納骨堂の運営にかかる経費は決して小さくなく、安すぎる施設には注意が必要です。さらに今後、“ウチも課税されるかもしれない”というリスクを織り込み、販売価格を上げる納骨堂が出てくる可能性は大いに考えられます」

 当局による課税強化の動きへの反応は様々だ。2014年に完成した新宿瑠璃光院白蓮華堂も「宗教不問」を掲げる。

「お寺は浄土真宗ですが、納骨堂は宗教・宗派を問いません。神道やキリスト教、ヒンズー教など、他宗教の方のお墓もあります。ただ、私どもは販売もお寺の職員がやっていて、営利企業が入っていた赤坂のケースとは根本的に違うと思っています」(広報担当者)

◆「弔いたい気持ち」はどこへ

 宗教か、ビジネスか。行政による二分法の議論からは、抜け落ちている視点もあるだろう。

 寺院がその信者にあたる檀家の葬儀や法要などを執り行なうための存在であるのは当然だが、多くの日本人の「宗教観」に変化があるのも確かだ。宗教不問の施設を選ぶ人に特定の宗派への信心はなくとも、亡くなった両親や配偶者をきちんと弔いたい気持ちはある。それに応えようとするのが新たな時代の宗教の在り方という見方もできる。

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