こうした時、案外ネット民は冷静である。「作品の素晴らしさと出演者の愚行は切り分けるべき」という判断をし、さらには巻き添えをくう別の俳優陣のことも気遣う発言をする。小出の件ではまさにそういった流れだ。
さすがにCMの場合、イメージを上げようと大金を払っているのにネガティブイメージがつくのはバカげているため、違約金をもらいさっさとお蔵入りにした方がいい。過去にCM出演者の素行や実生活に関連し、「これってネットで炎上しないかな……」と広告代理店の人間から相談されたことがある。
そのうちの一つが、とある女優がCMでは仲睦まじい夫婦役を演じているのだが、彼女の夫に離婚歴があることや、あまり働かずヒモのような人物であることが報じられる直前のことである。「実像と違うじゃないか! と炎上しないかな?」と血相を変えてやってきた彼には「その程度では炎上しないから大丈夫」と伝えたのだが、CMとはここまで慎重に作るものなのだ。
だが、映画やドラマは別物と考えるべきだろう。なにしろ、期間限定契約のCMとは異なり、後世に残る名作になる可能性もあるから。登場役者が不祥事を起こしたからといちいちお蔵入りにしては、もったいない。それこそ小出に関しては、『パッチギ!』『のだめカンタービレ』『ROOKIES』『JIN―仁―』といったメジャー作品に多数登場している。小出が登場する部分を削除して撮り直すのは非現実的だし、彼が登場するシーンを削除するのも面倒だし、そもそも話が繋がらなくなってしまうかもしれない。