国内

昨今墓事情、「生前に買う」「後継ぎ不要」でネット検索

「スノードロップ」の女性共同墓「なでしこ」

 お墓、どこにしますか? お墓の問題は、「どこに入るか」ともう1つ、「誰と入るか」ということも根深い悩みだ。夫や、夫の両親とは、死んだ後まで一緒は嫌。あるいは一緒に入る伴侶がいない──。その時、あなたならどうしますか? ある決断をした女性の話をお届けします。ノンフィクションライターの井上理津子氏がリポートする。

 * * *
「還暦を迎えたとき、『あ、もうすぐ母が亡くなった年だ』と思ったんです。母が突然、肺の病気になって、1年余りの闘病で逝ったのが64才でしたから。私は今のところ健康そのものですが、いつ何があってもおかしくない年齢だと自覚すると、急に『お墓、どうしよう?』ともたげてきたんですね」

 こう話すのは、静岡県に住む峰田恭子さん(64才・仮名)だ。31才で離婚した。3人の子供と今も近しいが、彼らは元夫の姓を継いでいる。「もし私が自分のお墓を買ったら、子供たちは、元夫のお墓と私のお墓の2つを面倒見ていかなければならなくなり、負担だろう」と思ったそうだ。

「それからです。ネットに『生前に買う』『後継ぎ不要』などの言葉を入れて検索しまくったのは。その条件を満たすのは永代供養墓や共同墓と呼ばれるお墓だとわかった。県内にも県外にもたくさんありましたが、『温かそうだ』とピンときたのが スノードロップさんの埼玉の樹木葬墓地だったんです」 

 パンフレットを送ってもらい、3回見に行った。自宅から新幹線で東京へ出て、さらに2時間近くかかる距離は「当時、娘が東京にいたし、ちっとも気にならなかった」。案内してくれたスノードロップのスタッフたちが「お商売じゃなく、志でやってらっしゃる」と感じ、好感度が跳ね上がったそうだ。

「決めようとしたとき、樹木葬墓地の隣に、ピンクのかわいいタイルを使った女性用の共同墓がもうすぐ新たに作られると知って、『そっちにします』と即決。節分を待って、後厄が終わるとすぐに契約しました」

 峰田さんが契約したのは、NPO法人スノードロップ(埼玉県坂戸市)が運営する埼玉県鳩山町の真言宗・妙光寺内にある女性専用の共同墓「なでしこ」だ。3年前にできた。

 なぜ“女性専用”がよかったのか。

 峰田さんは「離婚してるからかな」と応えた後、「いや違う違う」と笑い、「う~ん」と考え込んでから、こう言った。

「女子校育ちだからかもね。若い頃、幼稚園教諭と保育士をのべ10年ほどしていました。定年まで17年勤めた一般企業は、圧倒的に男性が多かった。そっちも楽しく勤めましたが、そういえば、学校も職場も女同士って心地よかった…」

文・写真/井上理津子

※女性セブン2017年6月29日・7月6日号

関連記事

トピックス

林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
「パー子さんがいきなりドアをドンドンと…」“命からがら逃げてきた”林家ペー&パー子夫妻の隣人が明かす“緊迫の火災現場”「パー子さんはペーさんと救急車で運ばれた」
NEWSポストセブン
豊昇龍
5連勝した豊昇龍の横綱土俵入りに異変 三つ揃いの化粧まわしで太刀持ち・平戸海だけ揃っていなかった 「ゲン担ぎの世界だけにその日の結果が心配だった」と関係者
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン