前出・枝川氏は、睡眠の質を上げる方法として、就寝の1時間前に湯船にゆっくりつかるという方法を推奨する。
「風呂に入ると、深部体温が高まり、その反動で約1時間後に下がってくる。深部体温が下がった時に、眠気が訪れるのです」
睡眠負債は、いわば長年にわたってたまりにたまった「ツケ」である。その返済には根気と工夫が必要だ。
「1日24時間を、睡眠をマネジメントするためのものとして捉え直すのです。睡眠負債を抱えている人は、生活サイクルのなかのどこかに問題があるということ。
寝る前にカフェインを摂らないといった基本的な改善はもちろんのこと、起きたらすぐに日光を浴びるといった地道な取り組みも有効でしょう。太陽の光を浴びると、14~16時間後にメラトニンという脳内ホルモンが溜まってきて、自然に眠気がやってきます。起きてから16時間後に眠くなれば、8時間の睡眠が確保できる」(同前)
膨れあがってしまった“借金”は少しずつ、着実に返していく以外ないのである。
※週刊ポスト2017年7月7日号