◆江沢民派に業を煮やした
「雄安新区の建設は純粋な経済発展が目的ではなく、党内の権力闘争の結果だ。北京の金融・社会資本の多くが江沢民派に握られているのに業を煮やした習近平は、雄安新区の建設を通じて、自分の完全な支配下に置いた新都市に北京の金融資本の7割を引き抜こうとしている」
最近、北京市民の間では内部情報のリークと称する怪情報が、チャットソフトを通じて数多く流れている。中国共産党の幹部養成機関・中央党校出身で、北京市通州区政府での行政経験も持つ民主活動家の顔伯鈞氏は、この情報を「十分にあり得る話」と述べる。
「地理的な魅力が薄い雄安新区が今後発展する要因は、習近平の独裁権力のみに頼らざるを得ない。そもそも華北地方の経済発展は、江沢民時代の環渤海経済区、胡錦濤肝煎りの曹妃甸開発区など、歴代政権が好況下ですら満足な結果を出せなかった鬼門です。習が失脚するか引退すれば、雄安新区は間違いなくこれらの地域以上の大失敗に終わるでしょうね」(顔氏)
ちなみに雄安新区の事実上のトップは、元上海市長で現在79歳の徐匡迪。それをバックアップするのは、元深セン市トップの許勤だ。徐は元総理の朱鎔基の部下で、許は国家発展改革委員会畑の人物。いずれも派閥色が薄く、習近平との縁もたどれない。やや独特な人材起用である。
「阿諛追従する者は多いものの、習近平の明確な子飼いは意外に少ないのです。起用できる人材が限られていることを示す人事だと感じますね」(顔氏)