上位陣で名古屋に入れ込むのは横綱・白鵬だ。あと11番勝てば通算1047勝となり、歴代1位の魁皇(現・浅香山親方)に並ぶ。昨年の名古屋では宝富士と勢に金星を献上して優勝を逃しただけに雪辱にかける思いは強い。
「何より、名古屋には白鵬が信頼を寄せる大口のタニマチがいることで知られます。今場所前にもわざわざ激励会を開いてもらい、簡単には負けられない。6月から滋賀県内で合宿を張り、場所前には時津風部屋などに積極的に出稽古に行って調整してきた。昨年は優勝を逃したが、それまで3年連続で賜杯を手にしてきた相性のいい場所でもある」(後援会関係者)
そうした“環境要因”が成績を左右するのは角界では珍しくない。かつて千代の富士(故人)と北勝海(現・八角理事長)という九重部屋の2横綱が活躍した時代にも、「通算31回の優勝を果たした千代の富士に阻まれてなかなか賜杯に手が届かなかった北勝海が、通算8回の優勝のうち4回を大口のタニマチがいる大阪場所で飾った」(同前)ことが知られている。
もちろん、白鵬以来(2006年5月場所)となる新大関での優勝を目指す高安もいる。
「横綱・大関との対戦が組まれる上位力士の顔ぶれは関脇の玉鷲、御嶽海、小結の嘉風、前頭筆頭の正代、貴景勝以下、北勝富士(前頭2)、勢(同3)、遠藤(同3)、宇良(同4)、輝(同4)らガチンコ力士がひしめき合っている。高安の成績を占うのは、序盤で初顔合わせとなる貴景勝と北勝富士戦。そこを乗り切れるか」(スポーツ紙デスク)