言葉の端々から、先人の棋書を読み込み、学んできたことが窺える藤井の将来に、将棋界が期待を寄せてしまうのは必然と言えよう。

 そして、14歳の少年とは思えない語彙が、将棋界の伝統的な言葉遣いに符合するのと同じように、その強さが培われた過程も、将棋界で旧来よく知られるステップを着実に踏み進めていったものだ。

 棋書を読み、定跡を研究し、棋譜を並べ、詰将棋を解き、実戦を多く指し、勝って嬉しさを、負けて悔しさを覚え(藤井は大変な負けず嫌いである)、さらに強くなろうとする。

 最近ではよく、藤井の強さは、現代最先端のAI(人工知能)の影響を受けているものと、評されるようになった。それはおそらく、事実であろう。藤井はここ一年ほど、研究パートナーとして、コンピュータ将棋ソフトを取り入れている。その後の藤井の棋力向上に幾分かは寄与していることも間違いはない。しかしそれは、自分自身で培った強固な基礎があってこそ。将棋ソフトを導入したからといって、誰もが強くなれる、というわけではない。(文中一部敬称略)

※週刊ポスト2017年7月21・28日号

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