ライフ

将棋で大器晩成は稀 藤井四段以前の中学生プロも全て超一流

将棋界に「大器晩成」は稀?

 連勝記録が途切れても、メディアの“藤井フィーバー”は止まらない。「僥倖」「望外」など豊富な語彙力を誇るこの14歳のプロ棋士の「強さの正体」はどのようなものか。将棋ライター・松本博文氏がレポートする。

 * * *
 藤井聡太四段は小学校の卒業文集に、「ぼくと将棋」と題して、将棋を覚えた5歳の時のことを回想している。ルールを覚えて、最初は祖父母と指していた少年は、やがて近所の将棋教室を訪れる。

〈矢倉の駒組を初めて見たのはその時だ。重厚で整った陣形を見て、自分の将棋とのあまりのちがいに驚いた〉

「重厚」という言葉は、日常生活では、使われないだろう。将棋界では腰の入った着実な攻めをポジティブに評価する際などに、よく使われる。ちなみに、矢倉を得意とする、重厚な攻め将棋の代表格といえば、加藤一二三九段である。藤井が更新する以前に史上最年少のプロ入り記録を有していた加藤とは、引退の少し前、奇しくも藤井のデビュー戦で対局している。

 藤井の前に中学生でプロになったのは加藤の他に谷川浩司九段、羽生善治三冠、渡辺明竜王の3人だけ。早熟の天才たちは、いずれも後に超一流となった。

 15歳でデビューした羽生は19歳にして初タイトルの竜王を獲得。25歳で史上初の七冠同時制覇を成し遂げた。この世界に限っては、大器晩成の例は非常に稀だ。苦労して20代半ばで四段になった棋士がタイトルを獲得したことは、ただの一度もない。才能を示す指標は、無情にして簡明だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン