片山:そうなんです。私たちの世代は終末思想を意識せざるをえない状況で育った。私の場合は、大阪万博開催が7歳。そのころまでは経済成長と科学文明の夢が純粋に信じられていた。
しかしその3年後、オイルショックが起きてすべてがひっくり返った。オイルショックの影響で停電や節電、テレビの放送時間の短縮なども行われた。近い将来には石油が枯渇するとカウントダウンして、科学文明の限界をすり込まれた。文明は破綻する、人類は滅亡する、と。
◆ロシアの闇とシンクロ
佐藤:オイルショックの前年には地球上の資源が有限だと指摘する『成長の限界』が発表されました。これも人類の滅亡や文明の破綻の空気を醸成した。
片山:1973年に刊行されてベストセラーになった小松左京の『日本沈没』もそう。『ノストラダムスの大予言』だけでなく『成長の限界』も『日本沈没』も一緒に人類滅亡というリアリティを植え付けた。それと並行して流行したのが、エクソシスト、オーメン、そしてこっくりさんにスプーン曲げ少年。
佐藤:そうそう。給食のスプーン全部曲がっていたもんね(笑)。
片山:大人なら一過性のブームですんだかもしれないけれど、子どもにとっては人生でずっと引きずるようなインパクトのある体験だった。この時期、神秘宗教、超能力、文明の破綻、終末論など、のちのオウム真理教の思考パターンを支える価値観が供給された。