佐藤:その通りです。その万民復活の終末思想が、オウム真理教のポアの論理とつながっていくんです。

 ルターはドイツ農民戦争で「権力に反抗する農民をできるだけ早く殺せ」と指導しました。権力に刃向かって傷ついた魂は復活できないから、魂が傷つく前に殺せ、という論理です。そのロジックはオウムのポアに活かされている。

 大量虐殺やテロは単なる恨みや辛みから行われるわけではありません。背景には必ず全人類救済事業のような思想があるんです。

片山:そもそも終末論は日本人の時間意識、歴史意識にはなじみにくい。「言霊幸ふ国」というくらいで天皇陛下がお言葉を発し続けているかぎり、今の秩序が永遠に続くと考えたがるのが古代からのこの国の思想なのですから。

 その伝統的感覚からかなり離れたのが「1960年代生まれの世代」だと思うのです。私も佐藤さんも多くのオウム信者と同じ1960年代前半生まれ。私たちは1970年代にブームを呼んだ、1999年に人類が滅亡するという「ノストラダムスの大予言」に少年期に引っかかった世代でもある。

佐藤:しかも1999年は単なる世紀末ではなく、1000年に1度の大世紀末でしたからね。

 1895年にイギリスで刊行されたH.G.ウェルズの『タイム・マシン』も終末論の影響を受けて世紀末の雰囲気を色濃く反映した小説でしたが、日本では単なる時間旅行としてしか読まれなかった。でもその100年後、日本人は終末論を自然に受け入れるようになった。

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