ビジネス

企業内部告発の先駆者「日本は告発者が守ってもらえない国」

トナミ運輸元社員の串岡弘昭氏(写真:時事通信フォト)

 現在、この国で内部告発者を守るためにあるはずの法律が「公益通報者保護法」(2006年4月施行)だ。

 告発者に対する解雇や減給などの無効を定めた同法が制定されるきっかけを作った人物といわれるのが、トナミ運輸元社員の串岡弘昭氏(71)である。壮絶な“会社員人生”を送った同氏に、現在の「保護制度」はどう映るのか──。

 * * *
 トナミ運輸岐阜営業所に勤めていた1974年、私は業者間の闇カルテルの問題をメディアに告発しました。私が情報提供者だとわかると、会社は富山の研修所への異動を命じ、それから30年以上、草むしりやストーブへの給油、雪下ろしなどの雑用だけが私の仕事になりました。

【1974年8月1日の読売新聞で、東海道路線連盟(東京―大阪間に路線を持つ運送会社50社)の加盟社による、違法な闇カルテルの存在が報じられた。同紙に情報提供したのが串岡氏だ。

 それ以降、仕事が雑用だけになり、手取り18万円のまま昇給もなくなった串岡氏は2002年、会社を相手取って損害賠償と謝罪を求める訴訟を起こす。2005年、会社側に1356万円の支払いを命じる判決が下され、串岡氏は係長に昇進。2006年、同社を定年退職した】

 不正な割増運賃の是正を上司や役員に何度も直訴したが、無視されたので闇カルテルについては読売新聞と公正取引委員会に告発しました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

創価学会の「自民党離れ」は今年4月の衆院島根1区補選でも
【自公連立終焉へ】公明党の支持母体・創価学会の「自民党離れ」が進む 岸田首相の「解散やるやる詐欺」に翻弄され“選挙協力”は風前の灯火
週刊ポスト
殺人を犯すようには見えなかったという十枝内容疑者(Facebookより)
【青森密閉殺人】「俺の人生は終わった」残忍な犯行後にキャバクラに来店した主犯格の社長、女性キャストが感じた恐怖「怒ったり、喜んだり感情の起伏が…」近所で除雪手伝いの裏の顔
NEWSポストセブン
亡くなったことがわかったシャニさん(本人のSNSより)
《ボーイフレンドも毒牙に…》ハマスに半裸で連行された22歳女性の死亡が確認「男女見境ない」暴力の地獄絵図
NEWSポストセブン
長男・正吾の応援に来た清原和博氏
清原和博氏、慶大野球部の長男をネット裏で応援でも“ファン対応なし” 息子にとって雑音にならないように…の親心か
週刊ポスト
殺害された谷名さんの息子Aさん
【青森密閉殺人】手足縛りプラスチック容器に閉じ込め生きたまま放置…被害者息子が声を絞り出す監禁の瞬間「シングルで育ててくれた大切な父でした」
NEWSポストセブン
竹内涼真と
「めちゃくちゃつまんない」「10万円払わせた」エスカレートする私生活暴露に竹内涼真が戦々恐々か 妹・たけうちほのかがバラエティーで活躍中
女性セブン
史上最速Vを決めた大の里(時事通信フォト)
史上最速V・大の里に問われる真価 日体大OBに囲まれた二所ノ関部屋で実力を伸ばすも、大先輩・中村親方が独立後“重し”が消えた時にどうなるか
NEWSポストセブン
大谷が購入した豪邸(ロサンゼルス・タイムス電子版より)
大谷翔平がロスに12億円豪邸を購入、25億円別荘に続く大きな買い物も「意外と堅実」「家族思い」と好感度アップ 水原騒動後の“変化”も影響
NEWSポストセブン
被害者の渡邉華蓮さん
【関西外大女子大生刺殺】お嬢様学校に通った被害者「目が大きくてめんこい子」「成績は常にクラス1位か2位」突然の訃報に悲しみ広がる地元
NEWSポストセブン
杉咲花
【全文公開】杉咲花、『アンメット』で共演中の若葉竜也と熱愛 自宅から“時差出勤”、現場以外で会っていることは「公然の秘密」
女性セブン
京急蒲田駅が「京急蒲タコハイ駅」に
『京急蒲タコハイ駅』にNPO法人が「公共性を完全に無視」と抗議 サントリーは「真摯に受け止め対応」と装飾撤去を認めて駅広告を縮小
NEWSポストセブン
阿部慎之助・監督は原辰徳・前監督と何が違う?(右写真=時事通信フォト)
広岡達朗氏が巨人・阿部監督にエール「まだ1年坊主だが、原よりは数段いいよ」 正捕手復帰の小林誠司について「もっと上手に教えたらもっと結果が出る」
週刊ポスト