重粒子線治療との違いは、がん細胞にぶつける粒子に炭素イオンではなく、水素イオンを利用することで、基本的な仕組みは同じだ。
ただし、水素イオンは粒子が軽いため、破壊力は通常の放射線より1~2割高い程度とされる。威力が弱いため、骨軟部の悪性腫瘍には適用されず、1回の治療でも重粒子線より照射回数が多くなる。陽子線治療は重粒子線治療より若干安価だが、それでも300万円近い費用が掛かる。
庶民にとっては大きな負担だが、確実な効果を発揮している治療法だ。
●しみず・みちゆき/1966年愛知県生まれ。大阪大学工学部造船学科卒業。1991年よりフリーランス。著書に『「脱・石油社会」日本は逆襲する』(光文社)がある。
※SAPIO2017年8月号