ビジネス

牛肉偽装告発者「私をヒーロー扱いしたメディアは所詮観客」

雪印食品の牛肉偽装事件を告発した西宮冷蔵の水谷洋一社長(写真:時事通信フォト)

 内部告発の成否のカギを握るのが、告発者の声を国民に届ける「メディア」だ。2002年に起きた雪印食品による牛肉偽装事件は、同社の取引先だった西宮冷蔵の水谷洋一社長(63)の告発によって明るみに出た。

 大企業の不正に立ち向かう水谷氏は一気に“メディアの寵児”となったが、その後の平坦ではない歩みから、考えさせられる点は多い。

 * * *
 朝日新聞と毎日新聞に情報提供して朝刊1面トップ(2002年1月23日付)で問題が報じられてからは、記者たちが僕のところに殺到してきて、寝る間もなかった。

【2001年に日本産牛肉のBSE(牛海綿状脳症)感染が発覚し、農水省は国産牛肉買い取り事業を開始。同事業を悪用し、外国産牛肉を国内産と偽ってパッケージを詰め替えて買い取らせようとしたのが雪印食品関西ミートセンターだった。水谷氏の告発によって、雪印食品は2002年4月に解散に追い込まれた】

 相手は大口の得意先のひとつやったから、一度は内々に不正をやめるように忠告しましたよ。でも、無視されて、「ほな(告発を)やってやろう」と思ったんですわ。

 僕からすればマスコミは事件の“観客”でしかなった。告発直後は各社が連日押しかけてきたけど、徐々に1社ずつ撤収していく。雪印食品の解散だとか、そういうタイミングになるとまた何社もやってくる。そういう波の繰り返しでした。

関連キーワード

関連記事

トピックス

“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
『あんぱん』“豪ちゃん”役の細田佳央太(写真提供/NHK)
『あんぱん』“豪ちゃん”役・細田佳央太が明かす河合優実への絶対的な信頼 「蘭子さんには前を向いて自分の幸せを第一にしてほしい。豪もきっとそう思ったはず」
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン