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相続税対策での素人アパート経営 大きな落とし穴も

◆何もしないほうがよかった

 大村氏がまず注意すべき相続税対策として挙げるのが「アパート経営」だ。土地を持っている場合、更地のまま妻子に残すのではなく、そこに賃貸住宅を建ててから相続させれば、土地の資産評価額は50%減額される。さらにローンを組んで建物を建てていればそれが負債にカウントされるので、相続資産の額を減らせる──という節税術だが、大村氏は「大きな落とし穴がある」と指摘する。

「まず、不動産の売買には多額のコストがかかります。手数料だけで3%取られるのが相場で、消費税も相当な額になる。しかも、建物は購入した瞬間から市場での資産価値が減じる。節税分が吹き飛ぶような損失を被ってしまう場合もある」

 大村氏によると次のようなケースもあるという。元大手商社マン・O氏は現役時代にコツコツと蓄えた約1億円の預貯金があった。相続税増税への不安もあり、不動産業者の勧めるアパート経営を決断。業者の推奨に従って5000万円で土地を購入し、4000万円で建物を建てたという。

「ところが建設から数年経っても、入居率は50%を割ったまま。建てたワンルーム6部屋のアパートが駅から距離のある場所で、ターゲットの学生に敬遠される物件になってしまった。

 建物のローン返済に、不動産業者へ払う手数料、固定資産税もかかるし、修繕積立金も考えなくてはならない。建物を売ろうにも、業者から“売るなら3000万円程度がいいところ”といわれ、買った時から1000万円以上値が下がってしまっていた」(同前)

 結果的にアパートを手放した上に、建物のローンだけが残り、最終的に自己破産する「相続破産」のようなケースもあるという。

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