──それはダイエット中の人には心強いお言葉です。飲み物という括りでは、近年、野菜でつくるスムージーはヘルシーで流行っていますが、先生はあまり勧めていませんね。

山田:それも原理は一緒です。野菜を摂りにくい生活パターンの方がプラスアルファとして野菜だけのスムージーを飲むのは構いませんが、それだけで朝食を済ませようとするのは問題です。野菜スムージーで得られるのはビタミンや一部のミネラルだけなので、同時にたんぱく質や脂質を摂らないと骨や筋肉がつくられませんし、昼食後や夕食後の血糖上昇を抑制しにくくなってしまいます。

 もっと大きな問題は、スムージーをより飲みやすくするために糖質の多い果物やハチミツなどを隠し味で入れてしまうことです。これでは糖質量が上がり、かえって太ってしまいます。

──先生の著書の中でも、ロカボでもっとも注意すべきは果物で、「スナック菓子に等しい」と書いてあり衝撃を受けました。

山田:果物に含まれる果糖は直接的には血糖値を上げませんが、体内で中性脂肪に変化して内臓にくっつき、脂肪肝などを引き起こしやすくなります。最近は果物だけでなく、フルーツトマトのように甘みを増した品種改良の野菜が出るなど糖質の多いものが増えているので、そちらにも注意が必要です。

 よく「朝の果物は金」などといわれ、健康やダイエットのために朝食は果物だけしか食べない人もいますが、それは決してよくありません。太りやすいかどうかだけで見れば、果物は米や砂糖よりも危険です。果物を食べるときは量を控えたり、間食として食べたりすることをお勧めします。朝食にバナナを1本食べるならば、やはりベーコンエッグなどたんぱく質や脂質と一緒に食べるのが望ましいでしょうね。

──先生が監修した低糖質食品の開発や、1日の糖質量を抑えたロカボメニューを取り入れる外食店舗も増えていると聞きます。はじめから低糖質メニューと謡っていれば、消費者にも分かりやすいですよね。

山田:そうですね。最近は糖質の少ないパンがコンビニエンスストアやスーパーマーケットで売られていますし、外食店でも米の糖質をオフしたオムライスや、注文すれば糖質を半分にした麺に変えてくれるラーメン屋さんやうどん屋さんなどもあります。

 ロカボは「糖質を抑えていても美味しい料理をお腹いっぱいに食べられる」ことが基本です。そうした無理のない食生活を続ける中で、体重の減量効果が得られれば、ずっと継続したくなるでしょうし、太りにくい体も自然と維持できるようになりますよ。

●やまだ・さとる/1970年生まれ。北里研究所病院・糖尿病センター長。日々の糖尿病治療においてQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上を追求していく過程で糖質制限食に出会う。2012年『奇跡の美食レストラン』(幻冬舎)を刊行、2013年に緩やかな糖質制限食=ロカボの考え方を普及させ、一般社団法人「食・楽・健康協会」も立ち上げる。

■撮影/山崎力夫(山田医師)

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