芸能

芸能事務所の理不尽契約 夢を潰された27歳モデルの告白

公正取引委員会は芸能事務所の契約に迫れるか

 ここ数年、契約をめぐる芸能人と事務所とのトラブルが次々と表面化し、社会問題となっている。問題解決へ向けて、行政も黙ってはいない。7月、公正取引委員会が芸能事務所の調査を始めたと報じられ、8月には公正取引委員会の有識者検討会が議論を始めた。そこでは、芸能人やスポーツ選手が移籍・独立するにあたり、独禁法上の問題となる契約や慣習がないか論じられている。契約や慣習が適正化されるのは、まだ先のことになるだろうが、いまも毎日、その理不尽な掟に振り回される人が大勢いる。ライターの森鷹久氏が、事務所によって自殺直前までに追い込まれながら、なんとか立ち直った女性モデルについてリポートする。

 * * *
 最近では人気タレントのローラさんが、昨年には能年玲奈こと女優の「のん」さんが、所属事務所とのトラブルが報じられ、のんさんなどは一時、芸能の仕事がまったくないという事態が起きた。都市伝説的に「怖い世界」だと囁かれてきた芸能界事情は、一般人が想像するよりもはるかに「ブラック」で、ついに公正取引委員会が、芸能界のみで通用し黙認されてきた、事務所に有利すぎる実態の調査にも乗り出すという。

 某大手事務所傘下のプロダクションに所属するモデルの夢香さん(仮名・27歳)も、前所属事務所からのありえない要求を我慢し続けた挙句、順調だったモデル活動に狂いが生じ、ほとんど自殺の直前まで追い込まれた過去がある。

「友人といったファッションショーの帰り道で、前所属事務所のスカウトに声をかけられたのがきっかけです。小さなプロダクションでしたが、ViViやCanCamなどの赤文字系雑誌読者モデルも何人か所属していることも知っていました。元々モデルに興味があった私は、翌日には両親を説得し、事務所に所属することに決めたんです」

 身長は170センチ近くあり、休日の原宿や渋谷を歩けば、必ずスカウトに声をかけられたという夢香さん。「素材」としても抜群だった為か、所属してすぐにチョイ役ではあったが、雑誌の仕事が舞い込んできた。最初の撮影では拘束5時間で、収入は五千円ほどだった。事前に簡単なポージングや表情作りの研修を受けていたものの、汗びっしょりになりながら、なんとか撮影を終えた。

「やっと、本当の”モデル”になったんだと感激でした。メイク企画にも呼ばれるようになり、モデルとしての仕事が増えてくると、本業だった化粧品販売員の仕事を辞めざるを得なくなりました。今思えば、これがすべての間違いだったのかもしれません。私は騙されもしましたが、自分自身が少し調子に乗りすぎていたのではないかとも思うんです」

 週に3~4日も撮影に呼ばれていては、日中の仕事は出来るわけがなかった。正式な契約を結び、事務所からは固定給をもらうようにもなっていたが、その額たった10万円。実家暮らしだからよかったものの、満足な暮らしは出来なかった。そのような生活が半年ほど続き、夢香さんは事務所社長からの直接指示で様々なことをやらされるようになった。

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト