ビジネス

不動産バブル崩壊シナリオ「東京でも半値に暴落する」と識者

すでに不動産暴落の予兆は郊外から起きている

 首都圏を中心に不動産市場が「局地バブル化」している。2017年上期(1~6月期)に売り出された首都圏の新築マンション平均価格は5年連続で上昇し、前年同期比で3.5%高い5884万円と、1991年のバブル期以来の高値を記録した(不動産経済研究所調べ)。

 だが、「バブルはいつ崩壊してもおかしくない」と指摘するのは、近著に『2025年 東京不動産大暴落』がある住宅ジャーナリストの榊淳司氏だ。同氏が危惧する不動産暴落の最悪シナリオとは?

 * * *
「不動産価格はいつ下がるのですか?」

 これは、私が最もよく聞かれることだ。有料・無料の相談者からも聞かれるし、取材にやってくるメディアの方々も同じことを尋ねてくる。近しい友人、知人にもよく聞かれる。

 私の答えはいつも同じ。

「すでにいつ下がってもおかしくない状態です。何かのキッカケがあれば、はっきりと下がり始めるでしょう」

 需要と供給の関係だけで市場価格が決まるのなら、とっくに下がり始めていてもおかしくない。分譲、流通、賃貸など住宅市場はどこを切っても供給過剰だ。また、リーマンショックのような出来事が起こったり、地政学的な異変もキッカケになる。北朝鮮や東芝の問題も、不動産市場とは無関係ではないのだ。

 よく「オリンピックが終わるまでは大丈夫なのでは?」的なことも聞かれる。これに対しては以下のように答えている。

「オリンピックは基本的に不動産価格には関係ありません。ただの大きなお祭りですから。不動産の需給はほとんど影響されません」

 まあ、気分的なものはある。華やかな祭典の途中で、不動産価格の変動などは話題になりにくい。

 そんなことよりも、そもそもなぜ「不動産が下がる」あるいは「暴落」ということが、多くの人々の関心事項になっているのか。

 答えはひとつしか考えられない。それは多くの人が今の都心エリアのマンション価格は高くなり過ぎている、と感じているからだ。下がるのを待っている人もいれば、恐れている人もいる。

 私はかねがねこのマンション価格の高騰を「局地バブル」と呼んできた。都心と城南、湾岸エリアと川崎市や京都市の一部では、不自然にマンション価格が高騰。今ではその周縁地域まで高騰の波が及び始めた。しかし、まだまだ地域は限られている。

 多くの地方では相変わらず不動産価格の下落が続いている。不動産価格がはっきり上昇しているのは、日本全土の2%もないはずだ。残りの大部分では下落基調にあるとみていい。

 都心や城南、湾岸エリアのように、マンション価格が不自然に高騰したエリアでも、そのバブル化をもたらしたのは実際に住むための需要ではない。外国人の爆買いや相続税対策、あるいは値上がり期待の投機買いだ。

 こういう「買い」は、風向きが変わればすぐに「売り」に変わってしまう。その点、都心のマンションは近年、株式などの金融商品に近い存在となってきた。特に都心の中古マンションは半ば金融商品化している。

 そもそも一般消費者の個人間で取引される中古マンションでは、短期間で価格が極端に変動することはなかった。住むための売買においては、市場はある程度熟成していたのだ。しかし、これからは違う。短期で大きく変動することも起こりやすい。その理由は、何よりも中古マンションの金融商品化だ。これからはマンションといえども株式と同じような暴落が起こり得る。

 私は6月に『2025年東京不動産大暴落』という著作を出した。なかなか好評である。多くの人が「暴落」というキーワードに注目しているようだ。

 実際、この本の中では暴落に至るスケジュールを年表のようにしてまとめている。ここではその一部を紹介してみたい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン