今年のR-1ぐらんぷりは、お盆で股間を隠す芸を売りとするアキラ100%が優勝。この結果は、芸とは何かという命題を、改めて芸人たちに突きつけた。
──アキラ100%がネタを披露している間、審査員席で、ずっと苦虫をかみつぶしたような顔をしていたのが印象的でした。
「僕はもう審査員としてね、どう評価していいのか……。日常性とか普遍性とかを大事にしてきて、しゃべることで笑いをとってきましたから、どういうネタを、どういうセンスでっていうのやったら評価の仕方がありますけど……。やっぱり、あの裸をやられると、難しいですねぇ」
呆然としたような表情で、首をゆっくりと傾ける。
「でも、振り子現象で、行くとこまで行ったら、今度はシンプルに話で笑わす時代が来ると思いますよ。そのときまでに、R-1で通用するようなネタを、磨いておいて欲しい」
──笑いのためならここまでなら越えていい、笑いのためでもここは越えてはならないという「笑いの境界線」は、文枝師匠はどこに設定されているのですか。
「一応ね、テレビの『新婚さんいらっしゃい!』なんかのときは、向こうの下ネタに乗っていかないといけないときもある。でも、落語では、下ネタとか、人の悪口を言うとか、ちょっと汚い話はやらないようにしてます。やっぱり、落語が持ってる笑いの質を維持していきたいなあというふうに思ってます」