捜査に転機が訪れたのは、地元警察がDNA鑑定を導入したこと。遺留品のタバコの吸い殻や現場に残されていた血液、さらに犯人の似顔絵などから、捜査線上に劉らが浮かんだという。
劉は事件後、故郷に戻り、蕪湖市の文学の専門学校に入学。在学中に農村部での農民の貧しさや農作業の辛さなど、自身の体験をもとにしてリアルに描写した作品が評価され、地元の文学賞を受賞。「農民作家」として知られるようになり、その後も書いた作品が評価され、数々の文学賞を獲得。最近では農民文学ばかりでなく、歴史ものやミステリー、テレビの脚本を書くなど頭角をあらわしていた。
最近は「一人の女流作家が多くの人々を殺しながらも、絶対捕まらないという作品を書こうと思う」と次回作を予告しており、自身の経験をほのめかしていたという。
常州市の警察が劉の自宅に踏み込んだ際、劉は「この20年以上、逃げきれないと思っていました。あの日のことを思い出して、眠れない夜も数多く経験しました」と語るとともに、「自殺しようと、何回、殺鼠剤を飲もうと思ったか数えきれないくらいです」とも話し、心なしか、ホッとしたような表情を見せていたという。