「老人は、社会というチームの“主力バッター”にはもう二度となり得ない。それを目指して努力しても成果は上がらないし、若者たちに迷惑をかけてしまうのが関の山です。
しかし、長い経験によって若い人より上手にできることもあるし、後進に教えられる部分も必ずピンポイントで存在する。ですから、60歳を過ぎたら社会の“レギュラー”ではなく、“代打”や“マネージャー”であろうとすべきなのです。社会の脇役的な仕事に面白味を見つけることが、老後をしたたかに生きるポイントだと考えています」
「働き方改革」や「一億総活躍」という旗振りのもとに、「学び直し」や「生涯学習」などといった美辞麗句が躍る。しかしそれに振り回されることは、かえって自らの首を絞める結果になりかねない。残り少ない老後を有意義なものにできるかどうかは「高齢者自身の意識の持ち方」に委ねられている。
※週刊ポスト2017年9月15日号