「倒産後に後始末さえせず逃げる業者は実際にいます。粗悪な火葬炉で遺体を焼いて異臭騒ぎを起こしたり、個別に火葬すると偽って数頭の遺体をまとめて焼いているところもある。参入のハードルが低い分、反社会的勢力も紛れ込みます。そうした業者に当たってしまうと、苦情を申し立てても脅されて門前払い。遺族はやりきれません」
真面目にやろうとするほど利益が上がりにくい業界であることは、前出の伊東さんも認める。
「きちんとした火葬炉を作ればそれだけで500万~1000万円はかかる。土地代や事務所の物件、供養塔も合わせると、初期投資だけで数億円になる」
一方、葬儀費用は「1回3万~5万円程度」(伊東さん)で、競争過多の結果、初期投資の回収すらできずに倒産する業者も少なくない。おかげで冒頭のような「墓場の墓場」が全国に生まれている。昨年春に愛犬(柴犬18才・ オス)を亡くした飼い主(42才主婦)が語る。
「亡くなった時はそのまま庭に埋めようかと思ったのですが、やっぱりちゃんと弔ってあげたくて。埼玉県の業者にお願いしました。火葬と埋葬で10万円ほどでした。個別のお墓だとその3倍くらいだったので、合同葬を選びました」
火葬の後、併設の墓地に埋葬も済ませたのだが、突如業者が倒産。
「連絡さえありませんでした。ある日お線香をあげに行くと、事務員がひとりだけいて、“倒産しました”って、まるで他人事。他の霊園に移すためにうちの子の骨壷をもってきてもらったのですが、本当にこれがあの子かどうか…」(同前)
その後、都内の霊園に愛犬のお墓を見つけることができたが、「最初の業者の3倍の費用がかかり、神経も使いました」と、後悔の念を募らせる。
※女性セブン2017年9月21日号